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高級ベンジャロンの証

タイ正月(ソンクラーン)文様ベンジャロン焼の予約を開始しました。

当店のベンジャロンのお値段を見て、なぜこんなにも高いのかと、思われている方も多いかと思います。当店も営利企業ですからそれなりの利益は頂いていますが、暴利をむさぼっている訳ではありません。当店の仕入先(ダムロンラックベンジャロン、サイアムセラミックハンドメイド)が現地で販売している小売価格は、カップ&ソーサー2500バーツ(当店価格7500円)、マグカップ1800バーツ(同5500円)、お猪口700バーツ(同2400円)、灰皿1200バーツ(同3500円)ですので、当店では現地とほぼ同じ価格で販売させて頂いております(2002年8月現在、1バーツ=約2.9円)。

それでは、なぜこんなにも高いのかと申しますと、
その理由は、当店のベンジャロンがファインボーンチャイナ(ブランド名:ロイヤルボーンチャイナ)を使用しているからです。磁器にお詳しい方は、良くご存知の通り、ボーンチャイナとは、18世紀に、磁器の製造において不可欠なカオリンという成分がなかったイギリスで、その代わりに骨灰を混ぜて使用したのが始まりです。ボーンチャイナの中で、骨灰が約50%以上のものをファインボーンチャイナと呼びます。カオリンとは白い陶土で、中国・景徳鎮近郊の高嶺(カオリン)山から取れたことが、その語源となっています。

ファインボーンチャイナを使用し、熟練の職人を使い、絵付けの工程だけでも3度の焼成をすることにより、温かみのある乳白色、堅牢性、つやを出すことができ、ヨーロッパの高級食器に勝るとも劣らない高品質な磁器となるわけです。タイでも、ファインボーンチャイナ(ロイヤルボーンチャイナ)を使用したベンジャロンは余り多くはありません。

当店が仕入れているお店でも、ファインボーンチャイナを使用したベンジャロンと通常の磁器(ポーセリン)を使用したベンジャロンの2種類が置いてあります。比べてみますと、ペイント部分はそれほど大きな違いはないですが、やはり白色の部分(カップでいうと内側)の高級感が全く違います。私も色んなベンジャロンを見てきましたが、このお店のファインボーンチャイナを使用したベンジャロンの美しさには、うっとりしてしまいます。そういうわけで、当店では、このファインボーンチャイナ製のベンジャロンにこだわりたいと思っているのです。  →ベンジャロン焼きの歴史

また、当店の仕入先では、お土産品とは一線を画し、元来、タイ王室専用品として究極の品質が求められていた本来の製造目的に立ち返り、芸術品の域まで品質を高めようという方針で製造しております。熟練された職人を使い、手間ひまと高価な材料を使用しておりますので、それ相応のコストが掛かります。しかし、それは結果である商品に、確実に差が出てきます。本当に美しい食器がお好きなコレクターの方には、その価値が充分にご納得・ご満足頂けるものと確信しております。

ベンジャロンにも、ピンからキリまでありますが、私が個人的に、素晴らしいベンジャロンだと思う要件は、下記です。

1)色付けが均一であること。ベンジャロンは、手描きで絵付けされていますので、完璧な物というのはありませんが、未熟練の職人の作品は、はみ出しや、色ムラが多く見られます。また、レリーフ状にボコボコ盛り上がったものが高級である、と記述しているケースが多く見られますが、それは一概に正解とは言えないと思います。確かに、安物でボコボコと盛り上がったものは見掛けませんが、それほど盛り上がっていなくとも、高級なベンジャロンはあります。その意味では、ボコボコ盛り上がっている、というだけでは、まあ、安物ではない・・・という程度だと思います。

2)文様の描かれている細い線(金線)が、均一であること。均一な細い線を描くには、一定の筆圧且つ一筆書きで描く技術が必要です。技術がないと、線が太くなったり細くなったりします。

3)全体につや(輝き、光沢)があること。これは、素材となる白磁の品質、色付けする顔料の品質、焼成時の温度管理(同じ窯の中でも温度差があり、どの位置にどの色の文様を置くかというノウハウがあります)などが影響します。

4)縁取りの金に輝きがあること。あまり輝きがないものは、金の純度が低い、色付けする際に一定の筆圧で一筆書きが出来ていない、焼成時の温度管理がうまく出来ていない、可能性があると思います。

また明らかに輝きが抑えられたマット系の金彩が施されたベンジャロンもあります。これは金彩を施す金液が異なるとか、絵付けの方法が違うとか、焼成の温度が違うということではなく、使用する白磁の差です。光沢のある白磁に金彩を施すと輝きのある金彩となり、光沢のない(表面の粗い)白磁を使えば、マット系の輝きを抑えた金彩となります。一般的に光沢のある白磁はすべりが良い為、線などの下絵を描くのは易しく・色付けが難しい、光沢のない白磁は表面が粗いので、筆のすべりが悪くて下絵を描くの難しく、顔料の密着性(接着性)は良いので色付けは易しいと言われています。

5)素材となる白磁が美しい。

安い商品を作ることは、それほど難しいことではありません。賃金の安い未熟練の職人を使い、製造工程を省略し、安い材料を使うことで、どこでも同じような物が同じような価格で製造出来ます。良い物は、ベンジャロン特有の派手な色使いの中にも、上品さというかエレガントさが感じられ、素晴らしい作品を作るんだという職人の気持ちが伝わってきます。何はともあれ、多くのベンジャロンを見比べれば、自ずと品質の違いや自分の好みが、見えてくると思います。


余談:タイの食器業界事情

タイの食器製造メーカーは大半が中小メーカーで、製造しているのは価格の安いb器(ストーンウェア)・陶器が中心となっています。こうした食器類は安食堂や低所得層の家庭で使われます。

一方、b器・陶器より高級である磁器を製造しているメーカーも比較的多くありますが、高級レストラン・ホテルで使用されるレベルの食器を製造できるのは、限られた大手だけになっています。更に磁器の中でも、高級品であるボーンチャイナになりますと、高度な技術を要しますから、非常に限られたメーカー(2社のみ?)しか製造していません。

当店で販売しているベンジャロンの仕入先は、自社で磁器本体も製造していますが、ファインボーンチャイナを使用したベンジャロンについては、本体はROYAL PORCELAIN社より購入しており、絵付けのみ自社で行っています。

ROYAL PORCELAIN社はタイで最大の食器製造メーカー(タイ証券取引所上場企業)で、「ロイヤルボーンチャイナ(ROYAL BONE CHINA)」、「ロイヤルポーセリン(ROYAL PORCELAIN)」、「ロイヤルファインチャイナ(ROYAL FINE CHINA)」のブランドを持ち、ヨーロッパを中心に輸出をメインとしています。

技術面では、主にドイツのビラロイ&ボッホ社(VILLEROY&BOCH)より支援を受けており、タイでは数少ない、世界でも通用する高品質の食器を製造できるメーカーと言えるでしょう。

従来、ロイヤルボーンチャイナブランドについては、同じグループのSIAM FINE CHINA社で製造していましたが、ROYAL PORCELAIN社に合併統合し、上場を果たしました。

尚、陶磁器製造に必要な陶土・陶石はタイ国内のランパーン県、ウタラディット県、ラノーン県、チョンブリー県、ロップリー県、カンチャナブリー県などで産出しますが、絵付けのための塗料、釉薬、更にはボーンチャイナ製造に必要な骨灰は輸入しているようです。

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